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血管の健康は、全身の健康に極めて重要
血管の働き
血管は、人体の中の最大の臓器と言われ、大きく2つの働きがあります。
- 全身のネットワーク
- 全身の細胞に栄養素・酸素、必要物質などを運ぶ
- 全身の老廃物を運ぶ
- 全身のバランスを支配する
全身を健康に保つのに、これらの働きが極めて重要なことは、明らかです。
この大切な血管の健康のカギは、動脈硬化と血管の痙攣(けいれん) を防ぐことです。
心臓発作、心筋梗塞、脳溢血、突然死 などは、動脈硬化や血管の痙攣(けいれん) が強く影響しています。
- 動脈硬化では、 血管が固くなり → 壁が分厚くなる → 血管が狭くなる → 血管がつまる。
- 血管の痙攣(けいれん)では: 血管がまだ柔らかい状態で収縮しすぎて(過収縮)、血管がつまる。
どちらも恐ろしく、血管がつまると、その部位の酸素が不足したり、血管が破裂したりして、心臓発作、心筋梗塞、脳溢血、突然死 の原因となります。
これらの具体的なメカニズムを見てみましょう。
動脈は、内膜、中膜、外膜の三層構造になっていて、内膜は一層の内皮細胞で覆われています。実は、この内皮細胞が、非常に大切な役割を持っています。
動脈硬化と内皮細胞
動脈硬化の始まりは、内皮細胞の炎症から起こります。
食品添加物や悪い食生活など、様々な原因で、内皮細胞に傷ができたり炎症ができ、その敵と戦ううちに、その部分が焼け野原になり、そこにプラークができて、それが動脈硬化になります。
また、ストレスや、体に悪い食生活(食品添加物など) により起こる内皮細胞の炎症は、内皮細胞の機能低下にもつながり、それが動脈硬化を促進させることにもなります。
血管の痙攣(けいれん)と内皮細胞
実は、血管の内皮細胞から、すごく多くのホルモンや生理活性物質が出ています。
血管の収縮・拡張は、内皮細胞から出てくるホルモンで調整されているので、内皮細胞がうまくコントロールできないと、血管の痙攣(けいれん)が起こります。
つまり、内皮細胞は、血管の収縮・拡張に、極めて重要な役割をになっているのです。
ストレスや体に悪い食生活(食品添加物など) により起こる内皮細胞の炎症や酸化は、内皮細胞の機能低下につながり、さまざまなホルモンや生理活性物質の生成が調整できない状態が引き起こされます。
生活スタイルと副腎 抗ストレスホルモン
潜病の時には、ストレスが体にかかっていています。
例えば、コーヒーをいつも飲んでいる人は、潜病になりやすいといえます。
眠いから、疲れてるから、という理由で、この体のストレスと対抗するためにコーヒーを飲んだりカフェインを摂るのは、潜病の元。これは、体が自分でストレスに対抗することが出来なくなったために、コーヒー・カフェインに依存している状態といえます。
通常、体にストレスがかかると、体は抗ストレスホルモンを出して、ストレスに対抗します。
例えば、腎臓のすこし上にあるそら豆ぐらいの大きさの副腎の副腎皮質で生産される抗ストレスホルモンに、糖質コルチコイドの一種「コルチゾール」というホルモンがあります。コルチゾールは、外部からストレスを受けても、神経・代謝・免疫といった身体の機能を正常に整え、修復できるうように作用します。
体は、抗ストレスホルモンにより、色々なストレスに対してバランスを取りながらもとに戻しているのです。
ところが、過剰なストレスがかかってくると、抗ストレスホルモンだけでは、自分のストレスを全部対処できなくなります。結果、通常では100ある抗ストレスホルモンが50に減ってしまいます。そこにカフェインが入ってくると、まるで抗ストレスホルモンが100あるような錯覚を起こします。そのため、実際には50しかないストレスホルモンで頑張りすぎてしまい、50あった抗ストレスホルモンが、カフェインが切れる頃には更に20まで減ってしまっているということになります。そうするとまたコーヒーを飲みます。このようにして、少なくなっている抗ストレスホルモンを使い切ってしまうことになります。結果、朝起きれなくなるとか、疲れが一日中取れなくなるとか、頭がぼーっとして集中力が続かないとか、難しい仕事が面倒に思えるとかの症状が出てくることになるのです。
100の抗ストレスホルモンが通常の量とすれば、いつも忙しく働き続けている人は、100の抗ストレスホルモンでは対処しきれず、つねに200の抗ストレスホルモンを過剰に出し続けることになります。そうすると、タンクがきれてきて、50しか作れないような状態になってきます。
この抗ストレスホルモンの出ががうまくコントロールできなくなる状態を、副腎疲労といいます。
抗ストレスホルモンを過剰にでも出し続けることができている間は、とても元気でハイパーに働けるのですが、それが突然パタっと出せなくなった時、突然死につながる危険性が増大します。
副腎と血管の関係
ハイパーに副腎ホルモンが出続けている状態というのは、ハイパーに緊張している状態にある、つまり、常時戦闘状態にあるということです。血管は、抗ストレスホルモンが出ている間は、戦闘状態と認識して緊張した状態にあります。抗ストレスホルモンが出続けていると、収縮している状態が続くので、過収縮になって血管が詰まってしまいます。また、緊張状態が続いた後、ストレスホルモンが減っても、リラックスできなくて収縮したままになり、血管が詰まってしまいます。
通常、抗ストレスホルモンがでると血管は収縮し、減ると血管は拡張するのですが、この時、内皮細胞から、血管を拡張するホルモンが出ます。でも、このホルモンが出ないと、血管は収縮したままになってしまうのです。
副腎疲労の兆候
夜、やたら元気になる人は、危ない
抗ストレスホルモンは、通常、朝沢山でます。これは、睡眠状態から起きなくてはいけないため、朝に生成スイッチが入って出るためです。それ以降、時間とともに減少し、夜、眠りの状態にならなくてはいけないころには最小限の量になります。
ところが、バランスが崩れると、夜までずっと出続けてしまい、夜、やたら元気になります。
人によっては、朝出なくて、夜出る人もいます。これは副腎が疲れている人。自分でコントロールできなくなっている、ストレスが高い状態です。
抗ストレスホルモンは、交感神経・副交感神経 のバランスも担っています。これらのバランスを調整することにより、夜になるとメラトニンが出るとか、体の状態や時間によって出るホルモンが変わってきます。副腎疲労でホルモンのバランスが崩れると、交感神経・副交感神経 のバランスも崩れることになります。
副腎や血管を健康に保つには
- ビタミンBを沢山とる。
- ビタミンBは、抗ストレスホルモンの材料
- 抗ストレスホルモンは、細胞のミトコンドリアに働きかけることにより、酸素を使って、ATPというエネルギー元を作り出す。このATPを作るのに、ビタミンBが必要。抗ストレスホルモンが効率よく働くのにビタミンBが必要ということになる。
- ストレスを減らして、副腎や血管に負担をかけない。
- 悪いものを食べないようにする。
- 食品添加物は取らない
- 糖化や、加工食品を食べない
- 小麦も食べない
- アルコールは肝臓に負担をかける
- 悪いものを出す解毒能力 (デトックス力) を高める。
- 肝機能を高める
- 汗をかくようにする
- 腸を良くして、良い便を出す
- 排泄(はいせつ)機能を高める
- 食事は良いものを食べる。糖化、酸化、炎症を抑える、食事をとることが大切。
- 緑黄色野菜
- 肝臓を高める物質を摂る。例えば、レモン(レモン水) はすごくよい。レモンは解毒力を高めるのと、腸をクレンジングしてくれる。
- ブロッコリーは、肝臓の機能をとても高めてくれる。ブロッコリーにはファイトケミカルといわれる植物性化学物質の有効成分が多くある。よく知られているのに、スルフォラファン。これらの成分は、強い抗酸化力を持ち、有害物質を無害化する時に必要な解毒酵素の生成を促進する。これらが、解毒したり、酸化や炎症を強力に抑えてくれるため、肝臓の負担も軽減することができる。
- 血管の老化を抑える。
- 血管を強化する。 抗ストレスホルモンのバランスが崩れて血管が痙攣(けいれん)し易い状態だったとしても、血管が強いと、詰まりにくくなる。
- 運動とストレッチが、血管を鍛えるのに、とても大切。
- 内臓脂肪 (特に体幹部、お腹の中) を減らす。
お腹の脂肪には、内臓脂肪と皮下脂肪があります。このうち、内臓脂肪が血管にとても悪いのです。
内臓脂肪の中にある脂肪細胞から、血管を良くするホルモンと、悪くするホルモンの両方が出ます。ところが、太って内臓脂肪が多くなると、脂肪細胞一つ一つが肥大化して。この肥大化した内臓脂肪の脂肪細胞からは悪いホルモン (TNF–α ) が多く出るのです。これが直接血管へいって血管を傷つけるので、内蔵脂肪があるだけで血管がつまります。
内臓脂肪の周りにある体幹を鍛えることによって、内臓脂肪が減ると、同じ脂肪細胞から良いホルモンのアディポネクチンが出始めます。る。このアディポネクチンというホルモンは、血管を掃除してくれます。プラークとかを、ガリッとはいで、きれいに掃除してくれるのです。
参照:
杉岡 充爾氏のお話
すぎおかクリニック院長
千葉県船橋医療センターの救急医療に約20年、最前線で日夜、心筋梗塞などの生死に関わる治療に携わり約10,000人の心臓の治療に携わる。
2014年 5月 開業1年で通院数18,000人、顧客満足度100%
著書:「強い血管をつくれば健康になる!」
資格
日本内科学会認定医、日本循環器学会専門医、
日本抗加齢医学会専門医、日本医師会健康スポーツ医、
心血管インターベーション学会専門医。
実績・権威
パリ、ベニス、フィレンチェ、バンクーバー、台北、ソウルなど
世界中で数多くの学会発表経験あり。医学論文も多数あり
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