サーチュイン遺伝子(長寿遺伝子)ー Sirtuin

サーチュイン遺伝子(長寿遺伝子)とは。

老化を防ぐカギは、ゲノムを安定させることです。

ゲノムを担うDNAが切れて一部が失われたり、組み換わり場所が変化たり、コピー数が変動したり、変異が入ったりなど、ゲノムの変化が細胞の死につながります。

このDNAで中でも特に構造が不安定で、切れたり絡まったりしやすい部分が「リボソームRNA遺伝子」(rDNA)です。

そして、このリボソームRNA遺伝子の数を維持する(一定に保つ)ことが、ゲノムを安定させるカギとなります。

リボゾームRNA遺伝子とは、タンパク質の製造工場であるリボソームの構成成分の1つリボソームRNAを作る遺伝子のことです。リボソームRNA遺伝子群は非常にユニークな構造をしており、ヒトのゲノムでは、この同じ遺伝子コピーが100回以上繰り返して存在しています。しかし、そのコピー数は変動しやすく不安定な性質をもつ遺伝子なのです。

この不安定なリボゾームRNA遺伝子の数を維持するカギは、E-pro を制御することです。

E-pro とは、リボソームRNA遺伝子間にある非コードの転写プロモーターです。タンパク質合成を行わず、RNAのみ合成するスイッチの役目をする遺伝子配列で、この転写がリボソームRNA 遺伝子間の組換え(不安定性)を上昇させる働きがあります。

サーチュイン遺伝子には、E-proを抑制する働きがあり、結果、リボソームRNA反復遺伝子群を守り安定させて老化を遅らせることができるのです。

サーチュインは元々酵母菌の老化抑制遺伝子(SIR2、サーツー)として発見されました。この遺伝子は脱アセ チル化作用をもち、染色体の構造変換や遺伝子の発現抑制等に働いています。酵母菌で SIR2 を 破壊すると寿命が半分に短縮し、逆に発現量を増やすと寿命が顕著に延長します

また、サーチュイン遺伝子の1つ SIRT6(サートシックス)を大量に 発現させたマウスはふつうのマウスより長生きになります。

老化の決め手

染色体のrDNAテロメアが老化の進み方を決めます。

老化には「細胞の老化」と「個体の老化」があります。

幹細胞が細胞分裂すると、幹細胞と分化した(幹細胞でない)細胞ができます。

分化してできた細胞は、染色体の両端にテロメアという部分があり、細胞が分裂する度に短くなっていきます。長さが半分くらいになると細胞の老化が始まり、やがて分裂する能力を失い、細胞の死が訪れます。

テロメアの長さた保たれる幹細胞では、サーチュインの不活性化によってリボソームRNA遺伝子(rDNA)が不安定化すると、老化が起こります。

幹細胞は、長い時間のうちに少しずつDNAが壊れ、不純物がたまり、機能が衰えていきます。そして、ある程度、ダメージがたまった時点で老化のスイッチが入ります。この幹細胞の老化こそが個体の寿命に強くかかわっていると考えられています。

サーチュインを活性化させるには

カロリー制限

サーチュインを活性化させる因子に、NAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)という因子があります。このNAD+はたくさん食べていると減り、逆に食べる量を減らすと増えます。

つまり、食事のカロリー制限が⻑寿につながるのです。

サーチュインを活性化するには、摂取するカロリーを、必要とされる適切なカロリー摂取量の約70%に制限し、その状態を7週間以上続ける必要があるともいわれています。

カロリーを制限し、空腹状態を保つと、老化原因の要素であるミトコンドリアの弱体化を防ぎ、ミトコンドリアの数も増えることになります。

レスベラトロールを豊富にとる

ポリフェノールの⼀種であるレスベラトロールが、サーチュイン遺伝子を活性化することが分かっています。

一言で「レスベラトロール」といっても、実は構造によっていくつか種類があり、植物によっても、含まれているレスベラトロールの種類が少しずつ異なります。

レスベラトロールについて、数々の研究発表は、「トランスレスベラトロール」や「ビニフェリン」など、特定のものだけのようです。そしてこれらは、ブドウ由来のレスベラトロールに多く含まれているようです。

レスベラトロールを含む⾷材には、以下のものがあります。

  • ⾚ワイン
  • ブドウの果皮
  • リンゴベリー
  • メリンジョ
  • ピーナッツの薄⽪
  • アーモンドの薄皮
  • イタドリという植物
  • ココア
  • ラズベリー
  • ブルーベリー
  • リンゴの皮
  • ザクロ
  • イチゴ

水素水とサーチュイン

水素水が、サーチュイン遺伝子を活性化して、細胞の寿命を長くすることが論文に発表されました。水素水を飲むと効果が期待できるかもしれません。

Effects of Hydrogenized Water on Intracellular Biomarkers for Antioxidants, Glucose Uptake, Insulin Signaling and SIRT 1 and Telomerase Activity
(2016 Oct)

http://pubs.sciepub.com/ajfn/4/6/4/index.html

3.4.1. SIRT1 as biomarker for aging

SIRT1 is a protein that is believed to play important roles in longevity and reduction of age-related diseases. Previous studies have shown that when mammals age, SIRT1 expression decreases, whereas induction and activation of SIRT1 has been associated with extended lifespan. These studies have triggered the search for SIRT1 activators that may be used as dietary supplements to promote health and longevity [27].

Here, we studied the anti-aging effect of hydrogenized water on SIRT1 expression. We compared SIRT1 expression levels of human cells treated with or without test materials. As shown in Figure 4 and Figure 5, hydrogenized water appeared to increase SIRT1 gene expression in a dose-dependent manner until the effect plateaued at 50% hydrogenized water.

To demonstrate the effect of hydrogenated water on SIRT1 expression, we conducted single run study per concentration for a series of six concentrations of hydrogen water instead of replicates of a single concentration of the hydrogen water. The results indicated that hydrogenized water increased SIRT1 gene expression in a dose-dependent manner in umbilical vein endothelial cells (HUVECs) up to 25% hydrogenized water. The results also suggested that hydrogenized water may contribute to improvements in regulation of stress response, metabolic homeostasis, and aging. Increased expression of SIRT1 by hydrogenized water treatment could also result in delayed cellular senescence and enhanced endothelial function.

参考サイト:

http://www.nsc.nagoya-cu.ac.jp/~jnakayam/_src/sc796/PR20130830.pdf