究極の免疫学、阿保徹先生に学ぶ

免疫学医学博士の阿保徹先生のお話をまとめてみました。

人間がエネルギーを作るのに、2種類の方法があります。

  • 解糖系 (32度の低体温が適温)
    細胞分裂の時に使われているエネルギー。
    無酸素の時代から生物が持つ、最も原始的な代謝系。
    漬物と同じ乳酸菌と同じ仕組み。
    酸素を嫌い、酸素を使わずに食べた糖質を消化することでエネルギーを作る。
    即効性があるが、持続力がなく、一度に大量のエネルギーを作ることができない。皮膚、がん細胞、精子、白筋などは、解糖系細胞で、分裂できる。
    しかし、寒さにさらさないと分裂出来ないので、皮膚や精子などは、低い温度にさらすことが良い。
  • ミトコンドリア系 (37度が適温)
    酸素を用いてエネルギーを取り出す。
    光合成細菌と同じ仕組み
    エネルギー製造までに時間がかかるが、大量のエネルギーを作ることができ、持続性がある
    ミトコンドリアの多い細胞は、分裂抑制遺伝子があるため、分裂出来ない。脳、心臓(心筋)、卵子、赤筋などは、ミトコンドリアが多いので、3才くらいからは分裂できない。(女性は温めると子作りに有効)

つまり、細胞の再生条件は、無酸素状態であるといえます。

人間には、2種類の筋肉があります。

  • 白筋
    体の表面近くにある筋肉
    重いものを持ち上げたり、走ったり、瞬発力を要する筋肉。
    細胞にミトコンドリアが少ない。
    細胞分裂する。
  • 赤筋
    体内の奥で働いている筋肉
    姿勢や関節を正常に保ったり、呼吸や血流に使われる。
    酸素運搬に鉄が含まれたヘムたんぱくが使われる為に、赤みを帯びている。
    細胞にミトコンドリアが多く、持久力がある。

人の細胞は、年齢と共に、変化をします。

  1. 胎児期~3歳頃
    解糖型優位の時期で、ミトコンドリアが少ない。
    細胞分裂が全身で盛んにおこなわれ、無酸素運動が活発。
    瞬発力にまかせたエネルギーがありあまっている。
    糖を分解し、乳酸を出して、すぐ疲れて寝る。
    外の風にあたることで、低体温になり、細胞分裂も進み、皮膚も丈夫になる。
    糖しか使えなくて、持続力もないので、頻繁に食事をとる必要あり(3時のおやつ、夜食など)。それが成長につながる。
    子供を寒い所にやることによって細胞分裂
  2. 4才~15才
    細胞分裂が終わる時期
    その後も分裂を繰り返す細胞以外は、解糖系の機能は次第に弱まり、ミトコンドリア系の機能が整ってくる。
    分裂抑制遺伝子が働く15才ごろには、体の成長が止まる。
  3. 20才~50才
    解糖系とミトコンドリア系の調和
    2つのエネルギー系をうまく使い分けることができる。
    忙しいときは、解糖系のエネルギーをフル稼働させて乗り切り、
    ミトコンドリア系でゆとりを取り戻すことができる。
    瞬発力も持続力もある。
    バランスが崩れ、低酸素・高血圧・低体温が続くと病気になる。
    不妊症を退けるためには、卵子のために体を温める。
  4. 50才以上
    ミトコンドリア系優位
    有酸素運動が優位になり、自然の流れに従って無理なく生きることが大切。
    持続力は高まる。
    酸素を多く取り込み、ミトコンドリアが元気になるように体を温め、ゆったりとした生き方に切り替えることが健康の秘訣。
    少食にすることが健康法(切り替えができないとメタボになる)
    持続力はあるが、瞬発力が無い。
    分裂できないから、シワが増えてくる。
    多く食べる必要が無いので食生活も変える。
    体の声に耳をかたむけよう。
    体の感性を失うのは、ストレスから。

自律神経は、人間の意思とは関係なく、生命維持のために一致協力して細胞が働くのを統率する司令塔で、脳の中枢から全身に張り巡らされ、心拍、血流、臓器、免疫系など体全体の働きを調節します。自律神経には、二種類あります。

  • 交感神経 (ストレス時にはたらく: 体の感覚をにぶらせる)
    アドレナリンを多く分泌することで、脈拍や血圧、血糖値をあげて体を活発に働かせる。(低酸素・低体温)
    緊張時、興奮時、不安・恐怖を感じたときにも強く働く。
    昼間は、緊張した状態が必要なため、交感神経が活発。
    栄養を使うのに働く。
    解糖系エネルギーを使用
  • 副交換神経 (休息の時にはたらく)
    夜間の休息時に優位となる神経
    アセチルコリンを多く分泌することで、脈拍、血圧、血糖値を下げて、体をリラックスした休息状態へと導く。(有酸素・高体温)
    栄養の摂取・排泄時に働く。
    ミトコンドリア系を使用。
    夜は、昼間の金曜状態で体にかかった負担を取り除き、とってきた餌を消化して栄養とし、老廃物を排泄するために副交感神経が優位に働く。

この自律神経のメリハリがある人が健康といえます。

ストレスほとんどの病気に関わっているといえます。

ストレスがかかっている状態だと、体がシグナルを出しているのに気づけないのです。

興奮状態にあると、痛みなどを察知する感覚が低下するのは、必要な生物本来の機能だですが、働きすぎだと困ります。

たとえば、腎臓が悪くなるのは、忙しすぎからです。
交感神経が働きすぎると、血管収縮が強すぎて、全身の血流が悪くなり、腎臓の血流も悪くなります。そのため、尿を作る機能も低下します。腎臓は、血流が悪くなると、自分で血圧を上げて血を呼び込む反応を持っているのですが、処方された降圧剤を飲んで血圧を下げてしまうと、血流障害がますますひどくなり、腎臓が機能を果たさなくなってしまいます。

肝炎、膵炎などの炎症は、治るためのステップです。血流を増やして、ミトコンドリアにもう一度働いてもらって、エネルギーをつくり、タンパク合成したり、壊れた組織を繊維化したりして、組織修復し、治そうとしているのです。そして、その後、炎症が収まり、冷えてたところで細胞分裂が活発になり、傷口を覆ってなおります。

炎症を起こす最大の物質(ホルモン)は、プロスタグランジンです。

プロスタグランジンは、血管拡張による血流増多発熱痛みのこの3つを起こします。
筋肉を激しく使い、血管に乳酸などの疲労物質がたまり、血流が悪くなると、それを改善するために、プロスタグランジンが増えます。これが、腰痛頭痛などとして現れます。

痛みや腫れなどを伴うため、痛みを抑えるために、消炎鎮痛剤(消炎剤、痛み止め、解熱剤、すべて同じもので、プロスタグランジンを止める働きをする) が処方されるのですが、それらはすべてプロスタグランジンを止める働きをするという同じものです。バファリン、アスピリン、湿布薬、などがそうです。

ビデオ

安保徹先生『免疫革命!はじめてがんの原因が分かった!』ワールドフォーラム2011年10月連携企画 「統合医学医師の会公開講演会」

安保徹先生「がんの謎が解けた!鍵はミトコンドリアにあった!」ワールドフォーラム「統合医学を結ぶ!」シンポジウム

安保徹先生「免疫力をあげるのに無理は禁物!楽も危険(笑」ワールドフォーラム「統合医学を結ぶ!」公開講演会

安保徹先生「ワクチンは危険がいっぱい!震え上がるような怖さ!」ワールドフォーラム「統合医学を結ぶ!」公開講演会

安保徹講演(2013.06.09星陵会館) Toru Abo

https://www.youtube.com/watch?v=xZFlqhh4ueg&t=994s

安保徹先生「血圧は低ければ良いってものじゃない!減塩梅干し食べてる場合じゃないです。」ワールドフォーラム「統合医学を結ぶ!」公開講演会

新潟大学大学院免疫学・医動物学分野 教授 安保徹

参照:

阿保徹

免疫学医学博士

アメリカ・アラバマ大学留学中、『ヒトNK細胞抗原CD57に関するモノクローナル抗体』を作製
1989年 胸腺外分化T細胞を発見
1990年 新潟大学医学部教授
1996年 白血球の自律神経支配のメカニズムを解明

胃潰瘍の原因が胃酸であるとの定説を覆して注目される。その後もマラリア感染の防御に関する発見など、国際的に活躍している